一時期話題になった『老後資金2000万円問題』『人生100年時代』というキーワード。
長寿社会の到来とともに未来の不安への警鐘が慣らされています。
しかし、この問題、お金の問題だけで済む話なのでしょうか?

老後資金が2000万円も足りないと言われてます。
これってどうすれば良いのでしょうか?

老後資金2000万円問題は、お金の話として一気に広まった感がある。しかし、実はお金の問題だけじゃないのじゃ。

え?そうなんですか?
生命保険会社や、銀行、証券会社が投資や保険の見直しを強くいってきます。
ただ、確かに投資や節約だけで2000万円を満たせそうにはないですね。

そうじゃ。そもそも、人生100年時代ともいわれ、寿命が長くなっているんじゃ。
60歳で引退したとして、20年もの間、遊んで暮らそうという考えに無理がないかい?
実は、老後資金2000万円問題と、人生100年時代は、生き方を考え直すべきタイミングにきいている、という考え方が重要なんじゃ。
人生100年時代と老後資金2000万円問題
老後資金2000万円問題とは?
老後資金2,000万円問題というのは誰が言いだしたのでしょうか?
これは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」による試算が発端です。「老後20~30 年間で約1,300 万円~2,000 万円が不足する」というシミュレーションがセンセーショナルに報道され、老後資金問題として脚光を浴びた事を差します。
具体的には、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月約5.5万円の不足額が出るといいます。その後の余命20~30年間を積算すると、約1,320万円~2,000万円が不足するといいます。
実際のレポートを見ると、結論としては、金融リテラシーを高め、資産寿命を延ばしましょうという事が言いたいようです。つまり、国としてはiDeCoやNISAといった仕組みの利用促進を目的としているように見えます。
そこに利害関係のある証券会社、金融機関、保険会社などが乗って、キーワードとして、老後2,000万円問題が広がっていったようです。
人生100年時代とは
また、人生100年時代という言葉も、果たして誰が言いだしたのでしょうか。調べてみるとこんな経緯がありました。
2017年9月に「人生100年時代構想会議」というものが立ち上がりました。
長寿化が進み、多くの人が80歳を超えて長生きをされる時代になりました。
このような時代の一つの側面は、老後生活の長期化による、生活資金問題が一つ。
ここは、先に書いた老後資金2,000万円問題とリンクする話です。
さらに、長寿化によって、介護や医療費の問題、クオリティ・オブ・ライフの問題など、長寿をもろ手で喜べる状態ではない、という課題が目の前に立ちはだかります。
そんな中、リンダ・グラットン教授と、アンドリュー・スコットが著した、『LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略』は大ヒット。人生そのものの枠組みを変えることを提案しています。
老後資金2,000万円問題と人生100年時代について筆者の思う事
実は、老後資金問題も、人生100年時代も、30年以上前から指摘されていたことでした。
本ブログの筆者である私は、生命保険の販売などをしていたり、ファイナンシャルプランナーの資格も持っていることから、聞き飽きた話です。
ただそれを、日本では国を挙げて指摘し、マスコミと、ビジネスに使えると踏んだ金融機関が一斉に話題を押し上げた結果、あれだけの一大ムーブメントになったのではないかと思われます。
さらに、30年前とは違って、目の前には実際に圧倒的に寿命が延びたけど、お金がない、という親世代の事例が目に飛び込んできます。老々介護であったり、親の介護、介護に至らないまでも、親の世話に苦労している現役世代は見回せばあちこちにいます。
さらに、この問題は、お金だけの問題ではありません。
仮に、65歳で引退し、90歳まで生きていくために必要なお金があったとして、この25年間は何のために生きているのでしょうか?生きる意味を考えざるを得ない期間になってくるのではないでしょうか。
あまり取り上げられることはありませんが、『LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略』にはその問題についても検討されています。以下、この本を参考書に、これからの生き方について考えてみたいと思います。
人生100年時代をどう生きるべきか?
人生100年時代における新しい生き方とは?
人生100年時代、老後資金2000万円問題について、まずは結論めいた話をしておきます。
特に、人生100年時代という言葉に対して、一般的には、高齢者医療や年金といった老後のお金の問題としてとらえがちです。
しかし、長寿の時代は単に衰えて過ごすわけではありません。
大事なことは、元気に生きる時代が長くなったという事です。
そこで、『LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略』では、人生に新しいステージが現れると主張しています。
人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方で問題なかった。しかし、寿命が延びれば、二番目の「仕事のステージ」が長くなる。
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
この「仕事」のステージが長くなることで、人は様々な働き方を実現するといいます。
この時期に、自分を内省し、自分の生き方を認識し、それを実現していくという各人が各人の生き方を創り出していく、マルチステージを実現するべきだと主張しています。
老後資金2000万円問題ということで、「問題」とされていますが、その解決策を手に入れれば、それは単なる課題。新たな夢のある生き方の模索に変わりそうです。
人生100年時代を考える前に現代を検証してみる
「教育→仕事→引退」という3ステージの人生
現在の社会は、皆が一斉に
「教育→仕事→引退」
というステージを生きています。
だいたい20歳前後までが学校教育機関で、その後就職。
就職してからは、継続して働く期間が続き、60歳前後で引退。
全員が一斉にこの流れの中で動いていきますから、年ごとに生まれた人口が労働人口を左右します。
年金制度や医療保険も、世代間で支え続けるのが現状です。
そういった「一斉に動く」という前提での仕組みが回らなくなっている現状があります。
今の80歳は20年前の80歳より元気
かつて80歳と言えばよぼよぼの爺さんばあさんをイメージしました。しかし今は、80歳でも元気にゴルフを続けている人もいます。
かつては70歳を超えようものなら静かな老後生活を、というのが普通の考え方でした。
しかし現代は70歳ではまだまだ体は動きます。
70歳で閉じていくというより、まだまだ人生に積極的に参加できる状態です。
これをポジティブにとらえたほうが良いのではないでしょうか。
人生100年時代を享受するために必要な事
人生100年時代という、長寿の恩恵を受けるためには何が必要でしょうか?
LIFE SHIFTではこんな風に言っています。
長寿化を恩恵にするためには、古い働き方と生き方に疑問を投げかけ、実験することをいとわず、生涯を通じて「変身」を続ける覚悟を持たなくてはならない。
『LIFE SHIFT(ライフシフト)』リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
具体的には、「教育→仕事→引退」というサイクルの中で、「仕事」の期間が長くなります。
とはいえ、同じ職種・企業の中での就労というのは、無理があります。
そうではなく、これまで培った専門分野に、新たな学びを加え、それを違ったステージで発揮するという事を本書は推奨しています。
たとえば、保険会社に勤めたベテラン社員。
余暇時間では、様々なコミュニティ運営をしていたとします。
保険×コミュニティといった掛け合わせで、お金に頼らない安心のネットワークを作り出す、といったことも考えられるかもしれません。
人が変わると、ビジネスが変わり、ビジネスが変わると、社会が変わる。
人生100年時代は、そんな変化へのムーブメントなのかもしれません。
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